「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」を観に行って ・・・絶望した!(半分だけ)
エヴァ破を見て、色々と思うところがあったので日記に書いてみる。
わりと前作を忠実に踏襲していた「序」と比べ、完全に逸脱した世界を描いているといっていい「破」。「序」の段階では、続きを見ないとなんとも言えない・・・としかいえなかったが(アニメーションとしてのクオリティーが高いのは言うまでもないだろう)、ここまで出揃ってようやく、感想を書くことができるようになったと思う。
なお初日記なので、アレな日本語力とウゼぇ自分語り、過剰に自己防衛的な文体については、暖かく見守っていただく方向でお願いしたい。
要約すると、
作品としては素晴らしい。でもそれに乗れない自分が悲しい。
ってかんじ。
*ネタバレ全開なので見てない人は注意*
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・シンジくんの成長?
「『序』は大して変わっていない」といったが、ヤシマ作戦以降はかなり雰囲気が違う。かつてのウジウジ悩むシンジ君ではなく、周囲の信頼すべき人たちとのコミュニケーションを通じ、エヴァに乗る理由をかすかながら見つけたように見える。
「破」の序盤は日常パートで、旧作もそうであったように、平和でユーモラスなものとして描かれる。
萌えシーンあり、サービスカットあり。綾波は突然料理の練習を始め、アスカはベタにシンジに惚れている。仕舞いには、あの頑固オヤジまで食事会にノコノコ出頭してくる始末だ。(レイとユイがオーバーラップするゲンドウ視点のカットの微笑ましさには、あやうく噴出しそうになった)
一番グサリと来たのは、Bパート以降、ゼルエル戦でのシンジ君の覚醒だ。グレンラガンを彷彿とさせるような愛のバトルは、旧作では考えられなかったような自己決定っぷりだ。
怒涛のエンディングを迎え、劇場を出て家路へと向かう間、僕は完全に頭が混乱してしまった。家に帰っても何も手に付かず、不貞寝を決め込むことになった。少し落ち着いた今でも、アニメーションとして凄く面白かったという気持ちと、これは納得できない!という反感がぐるぐるしている。この気持ちの半分は、id:y_arimさんが「自分を全否定された気分になり絶望した」といっていたことに非常に近いものだ。(勝手な共感ですけども。)
・この気持ちはなん〜だろ〜♪
90年代とゼロ年代の社会的状況の違いから作品を分析する方法論がある。論点の整理にはとても有効な図式だと思うが、それに基づいた作品の評価の高低や、分析から導出される「べき論」については、個人的には必ずしも同意&共感できない。僕はゼロ年代に入っても、年相応の常識と協調性は手に入れたものの、趣味の世界では90年代に流行ったダウナー・自意識肥大系を未だに地で行けてしまうタイプの人間だ。「決断しないという『決断』byソウヤー」的なメタメタ問題について考える脳力は持ち合わせていないし。
エヴァ新劇場版製作決定の知らせを初めて聞いた時は、「マジ?オチどうすんの?」とか「とりあえず庵野がんばれ〜」といった程度で深く考えることもなかったのだが、「破」を見て、事の重大性に今更ながらに気づかされる。
前作と同じならば意味がなく、前作と違うのならば共感できない。
僕にとってはドン詰まりなのだ。
「庵野秀明の作った新エヴァが見たい」、そしてそれが「旧作のような、ペシミスティックでダウナーな作品*1でいて欲しい」という願望を兼ね備えた人間にとって、これは非常にツラいジレンマだ。そもそもが勝手な思い込みによる期待と、都合のいい自己投影だということはさすがに自覚しているつもりではあるのだが・・
庵野監督と彼の描くシンジ君は、この14年間で1つの壁を越えたようだ。それを踏まえて自分はどうか?旧エヴァにすがったまま、何の成長もしていないのではないか?未だにセカイ系を信奉している、単にイタくてダサい奴なのではないか?*2
改めて自家撞着の隘路に叩き込まれる。そういう意味で、一部の人間にとってはメンタルヘルス的に非常にキツい作品だ。
ちなみに新エヴァのクオリティーについては、僕の期待の250%を返してくれているので非常に満足している。*3庵野監督は、さらに上のステップへと進んだようだ。客層を見ても、あからさまにオタな人は少数で、ちゃんとリア充やってそうな人たちや、カップルが多かった。これはオタクだけではなく、多くの人に届く力を持った作品なのではないか。
何だか混乱してあまり上手くまとまりませんね。後日、在りし日の元気を取り戻したら評価が変わるかもしれません。公開前は二、三回観に行こうと心に決めていたが、今は怖くて見にいけない。
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追記
id:y_arimさん ブコメで反応してくださってありがとうございます。前からずっと読んでます。
ウジャウジャぶら下がった「俺シンジ君」達を突き放すという意味でEoEより遥かに完璧に成功したと思うよ。
これは本当にそう思う。旧作では映画全体の狂った雰囲気が何より心地よく、オタ批判的な含みは、僕にとってはあまり届いていなかったのかもしれない。ただ今回は完璧にクリーンヒット。劇場にまんまとおびき出されてぶん殴られました。